色彩を持たない、日本人男性のブログ

日本について、日々考える。

ゴー・ストップ事件 

 ゴー・ストップ事というとあまり世間で知られていないような気がします。それほど大きな事件ではなく、小さな出来事が大きく発展してしまった事件です。私たちの周囲にもこのよなことがあるのではないでしょうか。

 

 昭和8年(1933年)、軍が影響力を強めてきた時代のことです。場所は、大阪市北区天神橋六丁目、通称、天六と呼ばれるところです。

 ここで陸軍の青年が制服姿で赤信号を無視して横断をしようとしていたこところ、警察官が注意しました。これがトラブルの原因となり、派出所で殴り合いの喧嘩になりました。これに軍隊の中の警察の役割をしている憲兵が出てきて、憲兵と警察の対立となります。これがエスカレートして、大阪師団(第4師団)と大阪府庁(警察)の対立となり、さらにこのトップ会談も決裂して、陸軍省内務省(警察)の対立という大きなものに発展していきます。このもめ事が5ヶ月間も継続しました。お互いのメンツのために対立したのです。

 お互いに謝れ、謝らないというような子供の喧嘩のようになり、事件はどんどん拡大していくのです。

 結局、陸軍と警察で解決することができず、天皇陛下の一言で決着の方向に向かいます。32歳の昭和天皇がこのような一地方のつまらない争いにも関心を持たれたということは驚くべきことでもあります。

 この事件は、つまらない喧嘩です。それが天皇陛下が心配されるくらいと大きな陸軍と警察の対立となりました。この事件の後、警察が折れた形になったので、軍がどんどんエスカレートして、制御不能となり大東亜戦争へとつながっていきます。

 小さなことが大きなことに発展することがあります。小さな犯罪が大きくなることもあります。ミュンヘン会談などはその典型的な例です。このような国や政治の世界だけでなく、私たちの周囲にも存在するのではないでしょうか。

 ちょっとのこと、少しのことだと安易に考えてはいけないということを歴史に学び、自分を戒めなければならないと思わせる事件です。