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『 落日の轍 小説日産自動車 』 著者:高杉 良 文春文庫

 

落日の轍 小説日産自動車 (文春文庫)

落日の轍 小説日産自動車 (文春文庫)

 

 

 マスコミを中心として、英雄のように取り上げられていたカルロス・ゴーンで世間を賑わせている、日産自動車を舞台としたお話しです。この小説のお話しですが、日産自動車には、「独裁を許す風土がある」と著者が述べられているように、カルロス・ゴーンさんが、初めてではなかったようです。

 この小説の日産自動車は、昭和の頃の日産自動車で今から約50年ほどまえを中心に書かれています。会社のトップである社長と労働組合のトップの対立が書かれています。この労働組合のトップは、自動車総連会長などを歴任し、力のある権力者が言われるように天皇と言われていました。この当時の日産自動車にも23万人もの労働組合員がいたのですから、相当な権力を持っていたのでしょう。

 社長と組合のトップは、人事や日産自動車のイギリス進出などについて対立を繰り返していきます。しかし、この労働組合のトップも私利私欲にはしり、愛人をかこっていたという権力者にありがちなことを行っていたようです。

 権力が集中すると、この権力者に発言をすることが出来なくなってしまいます。そうすると権力者の間違いも指摘することが出来ず、悪いことがその企業では、通常のこととなっていきます。権力というのはやはり、分散することが必要だなと感じさせます。確かに、1人の権力者が全て決めてくれて、それが正しければ意思決定が早く、その企業は良い方向に進むことができます。しかし、そのような完璧な人間は、いつも出現するとは限りません。そうでない人が出てきたときに企業は、腐敗をし、衰退するでしょう。

 著者の高杉さんの作品は、何冊か読みましたが、よく調べられてるなといつもいつも頭が下がる思いです。もう少し、高杉さんの作品を読んでみたいと思います。